クラウドコンピューティングは安全で安定的かつ費用対効果の高い環境を求める企業の要請に柔軟に対応できるために誕生されたものです。その出現とともに、ここまで企業によく使われているオンプレミスからクラウドへの移行というニーズが高まってきています。この記事を通じて、VTIは企業の経営面と技術面においてクラウド移行の効果を最大化できるためのポイントを挙げますので、ご参考にしていただければと思います。
クラウド移行のメリット
近年、世界中の企業は既存レガシーシステムやオンプレミスシステムを柔軟性、拡張性及び費用効率が高いクラウド型プラットフォームに置き換える傾向があります。ITコストの削減、改革の加速など様々な理由で、企業がクラウド移行を始めました。その中で、3つの最も目立つ利点を見てみましょう。
1. セキュリティとデータ保護の強化
IT担当者を対象としたデロイト社の調査によると、対象者の58%は、クラウドへの移行を決定する時にデータ安全性を第一と第二の要素として格付けました。
サイバー攻撃がますます巧妙になっている中、データ保護対策を迅速に導入しなければ、企業は非常に大きな損失を被る可能性があります。この問題に対しては、クラウドサービスプロバイダーはオンプレミス環境の固有の弱みをクラウドの強みに変えることを目指し、セキュリティとデータバックアップシステムに重点を置いておきます。
さらに、システムのセキュリティ状況を簡単に管理するためにセキュリティ分析、自動更新、データ可視化など、プロバイダーによって多様なサービスが提供されていますので、企業は自社のニーズに応じて選択できます。サービス利用規約を遵守する限り、クラウドでのデータ保護に心配する必要がありません。
2. データモダナイゼーション
クラウド移行、つまり古いデータベースから最新のものへ移行することにより、企業はより安易にデータを開拓し、コスト、消費者需要、将来の購入量など必要な情報を手軽に分析・予測できるようになります。それゆえに、このようなデータモダナイゼーションはクラウド移行の2つ目の魅力となっています。
上記と同じ調査結果では、安全性に次いで、クラウドへの移行を決定する時に重要な要素がデータモダナイゼーションだと回答したのは対象者の55%でした。
3. コスト最適化
クラウドコンピューティングというのは企業インフラストラクチャーを仮想化しているとイメージしても良いでしょう。すべてのリソースをクラウドに移行することだけで、企業は物理的なハードウェア、システム設置などの多額の投資費用を削減することができます。クラウドプラットフォームでは、コンピューティングリソースを予測する代わりに、企業は必要なリソースを柔軟かつ迅速に調整し、オンデマンドの形で使った分だけ支払う(Pay As You Go)ことができ、オンプレミスシステム等に関するコストを最小限に抑えられます。
クラウド移行時の3つの課題
- 見極めたクラウド移行戦略が未整備
新しい技術を導入する際に明確な戦略が不可欠という規則があります。クラウド移行も例外ではありません。
企業はデータを移行する際に、しっかりとした計画を立案しなければなりません。これは、クラウド移行サービスプロバイダーの選定、コストの分析に限らず、予定保守期間、人材育成、移行完了までの予想時間などビジネス戦略までも考慮すべきでしょう。
- クラウドコンピューティングのスキルを持つ人材が不足
新しい技術を導入する際に保証すべきもう1つのことは、ITを担当する担い手がその技術についての知識を十分に持つことです。技術を持つ人材の採用に手間と費用をかける同時に、既存のIT要員に対してはクラウドの講座に参加させるなどの制度を整えるべきです。
- クラウド移行の予算を計算しておく!
クラウドサービスの利用は長期的には費用効果が高いことがよくありますが、クラウドへ移行するには、移動するデータの量や対象システムによって非常にコストがかかる場合もあります。このコルトには、技術移転、トレーニング、クラウドのアーキテクチャに結合するために既存データの変換または再構築などの費用、クラウド移行サービスプロバイダーとの契約費用などを含みます。
クラウド展開戦略
Denodoのシニアバイスプレジデント兼最高マーケティング責任者(CMO)のRavi Shankar氏(ラヴィ・シャンカール)は、次のように述べています。「データの重心がクラウドに移行するにつれて、ハイブリッドクラウドアーキ テクチャとマルチクラウドアーキテクチャがデータ管理とデータフローの基盤になりつつありますが、クラウドのデータ統合の課題はほぼ倍増(42%)しています。」
2020年にDenodoは、クラウド導入をはじめグローバルクラウドについて世界中の250の企業・組織のITリーダーを調査しました。この調査の結果は、企業のクラウド移行の傾向に関するインサイトを明らかにしました。
まず、データ形式から見ると、利用するデータの68%は構造化形式ですが、非構造化データも徐々に重要な存在になりつつあります。
そして、クラウドオブジェクトストレージ(47%)がSaaSデータ(44%)とともに、計算のしやすさとパフォーマンスの最適化を最大化するために高い頻度で使用されていることもわかりました。
クラウドへの移行パターン
クラウドへの移行には多くのリスクと課題も伴います。企業は、移行に適した計画を立てて、慎重に最善のアプローチ、適用方法・技術、タイミングおよび正しいクラウドサービスパートナーを選択する必要があります。最も一般的なアプローチは、リファクタリング/リアーキテクト、リホスト(リフトとシフト)およびリプラットフォームです。
同調査の2020年と2019年のクラウドへの移行パターンの比較表によると、回答者の3分の1(35%)は、データインフラストラクチャ全体のモダナイゼーションを伴うアプリケーションのリアーキテクトを検討しているようです。
また、おそらく、中小企業が簡素化された方法で移行を加速しようとしているから、リホスト選択回答者が21%となっています。一方、同表からわかるように、回答者の18%は、現在のアプリケーションを大きく変更しないでAWSのようなパブリッククラウドサービスの新計算能力・ストレージ能力を活用するために、リプラットフォームを行っています。
クラウドへのデータ移行
データの移行・複製に依存することなく、ハイブリッドクラウド環境及びマルチクラウド環境を適用してクラウドへのデータ移行を簡素化する傾向に傾いています。そのため、回答者の50%近くは、仮想化がクラウド移行の戦略に重要な要素だと答えています。
クラウドへのデータ移行が、ビジネスイノベーションに必要なインサイト情報を収集して統合するのに重要な役割を果たしています。したがって、柔軟性と簡単なアクセスが常にクラウドコンピューティングアプリケーションの要因として挙げられています。ただし、ビジネス価値を最大化できるように、厳格なセキュリティとのバランスを適切に保持することも大事です。
Denodoの同アンケート調査結果により、回答者の60%以上が、クラウドのソフトウェアのコストの意味合いおよびライセンスの使用状況について心配していることがわかってきました。
また、回答者のさらに30~40%は、クラウドソリューションの価値を簡単に評価できるかどうか、およびクラウド移行時のシステムのスケーリングとそれにつれていくライセンスコストを把握できるかどうか、自信がないようです。
そして、回答者の4分の1は、IT部門またはクラウド固有のスキルへの依存性が少ないマネージドサービス(SaaS)を好んでいることも述べられました。
まとめ
大きな可能性を秘めたクラウドコンピューティングは、企業がデジタルトランスフォーメーション活動を実行するのに役立つ新しい潮流になると予測されています。ただし、クラウドへの移行を最も効率的かつ効果的に実行できるように、企業からは移行戦略を策定し、クラウドに関わる専門知識・スキルを持つIT人材を擁すべきか、技術・経験に優れた、信頼性の高いクラウドサービスパートナーを選択する必要です。これが、企業の品質・安全性・セキュリティおよびビジネス活動・利益を維持しながら促進する主要の要因です。
参考種類:
https://www.denodo.com/ja/document/whitepaper/denodo-global-cloud-survey-2020
https://www.forrester.com/report/title/RES175348